休日の朝、部屋を掃除した後「伽羅」の線香を点す。
清浄な芳香が部屋に漂い心身が浄化される感覚だ。
香木は高価で私には手が出ないが、ある程度の線香でも充分楽しめるのではないか。
線香以外にも私の部屋は、葉巻の煙、蚊取り線香の煙とまさに「煙の間」のようだ。


東京で二日間、遅い夏休みを過ごしました。
まずは一周年を迎えた西池袋のカジュアルフレンチ「シュバル デュ ヒョータン」でランチを。夏野菜のテリーヌの美しく美味しかった事!川副夫妻のセンスと努力に刺激を受けました。
夕方にはジブリの「風立ちぬ」を観た。今回の映画は大人向けでテーマが何層にも絡み合っていた。純粋故の残酷さ、戦争や震災といったカタストロフィに飲み込まれていく人の運命、夢を実現することと失うことのバランスシート。
もう一つ私にはジブリの映画でいつも感動する要因があって、懐かしい日本の田舎の風景や町並み、暮らしぶりといった背景の描写が実に丁寧で心に染みることだ。
翌日は丸の内の「KITTE」へ。目的は以前ブログで書いた「インターメディアテク」だ。東大所蔵の膨大な骨格標本や剥製、宇宙資料などが2~3Fの広いフロアにアーティスティックに展示されている。まるで「我々はどこから来てどこへ行くのか」をテーマにしたラビリンスのように。
これ無料でイインデスカ?まあ海外には無料のミュージアムが多いですが・・
その後KITTEで昼食をし丸ビル、新丸ビルとはしご。充実した二日を過ごせた遅い夏休みだった。
自宅を建て早30年になろうとしている。
リビングのフローリングもあちこちギシギシ言っているし、外壁も前回塗装してから15年は経っているのでそろそろという感じで頭が痛い。
今度リフォームするなら是非作りたいのが黒い本棚だ。
いえいえ床暖房やオール電化じゃありません!黒い本棚を作りたいのです。
そんな理想にピッタリな本棚がエルデコ8月号にありました。デンマークのカントリーホテルです。
半ツヤのブラックで塗られ厚手の材木で構成された本棚は私の理想とするところ。
いつの間にか増えてしまったインテリアやアートの洋書をこんなラスティックで渋い本棚に納め、それらを鑑賞しながら酒を飲んでみたい(笑)
You Tubeでサーフィンの動画を見ていたら聞き覚えのある歌が流れてきた。
枯れた声、どこかブルージーでレイドバック感がプンプン漂っていた。
JJだった。いやJack Johnsonは私の体に染みらない、JJ Caleだ。
70年代にリリースされたアルバム「NATURALLY」からの曲だった。
しばらく忘れていたが久しぶりに「magnolla」や「crying eyes」「after midnight」「crazy mama」などを聴いた。
あの頃から海にいて、今も波間に漂っているオールドタイマー達よ、JJケイルやニール・ヤングを聴き続けていて欲しい。
仕事も終わった夕暮れ時、私は珍しくビーチに立っていた。
四十代の頃は、店を閉めてから一ラウンドの波乗りを良くやった。もちろん波が良さそうな時を狙い朝一のサーフィンも。
五十を超えてからは仕事中疲れが出るので、休日以外のサーフィンはトンとやらなくなってしまった。
薄暗くなったビーチには泳いでいる者など誰も居ない。サーファーも皆上がってしまったようだ。
店から直接来たのでサーフボードは積んでいなかったが、その時は海に浸かれればそれで良かった。
体ひとつで波間に漂う。サーフボードが無い事がこんなにも心許ないものか。だが時折やってくる波に少年の頃の夏を想い出しボディサーフィンを幾度か試みた。
二十分ほど海に漂い岸に上がるとあたりはすっかり暗くなっていた。
今度は満月の時に泳ごうかな?
もし、私が運良く長生きしてジジイになれるなら理想の二人がいる。
残念ながら二人とも今は居ないが。
一人目は以前ブログでも書いた日本の「笠 智衆」、二人目はフランスの歌手「Henri Salvador」。
二人の共通点は、ゆったりとキレイに老いたと言うことだ。パナマ帽とステッキが似合う風貌も一緒だ。笠爺さんは着物にパナマとステッキが、アンリ爺さんはリネンのスーツにそれが。
二人共、今の慌しい時間軸からすればワンテンポ、いやツーテンポ以上のズレがある緩慢さ(ユルさ)を感じさせるジジイだが逆にそれが私を魅了する。
このアンリ・サルバドールの歌は「毎日が日曜日」だと錯覚を起こしかねないユルーい楽園シャンソンだ。
先週、波乗り仲間の夫婦三組で御宿に一泊二日のショートトリップをしました。
何故か6人中4人は酉年と言うメンバー。もちろん私だけひと回り年長ですが・・
海水浴シーズン間近の御宿の町は準備に忙しい様子だったが、ビーチは平日ということもあり人もまばらでノンビリした雰囲気。
我々が宿泊したのは港に近いビーチフロントのホテル「sayan terrace」。サーファー向けのプラン・設備も整いカジュアルで清潔、居心地の良いホテルです。
天気も良く、綺麗な海でゆっくり羽を伸ばしてきました。
シーズンオフを狙ってまた来てしまいそうです。
十代後半から二十代にかけて日本の田舎的風土、風習、人間関係に重さや暗さ、湿気を感じそれらから逃れたいと思っていた時期があった。
その反動として軽くなりたい、乾きたいからと、サーファーになったのは必然だった。
なので当然「つげ義春」の様な漫画には接近したくなかった。
先日、ランチタイムにN氏と会話をしていた時ふと「つげ義春」を読んでみたくなった。ホント何の気なしに。そしてN氏はすぐに厚い作品集を2冊貸してくれた。
今更ながらじっくり読んだつげワールド。「ねじ式」「紅い花」「やなぎ屋主人」などシュールでどこか懐かしい心象風景や闇を感じさせる。淫靡さも。
あの頃近づきたくなかった「つげ義春」の描く世界が、実は自分の中の深く暗い井戸から汲み上げた水のようなものだったんだと知った。
今回の鎌倉巡りは、フェリーで久里浜に着いてから直行した葉山の「sunshine+cloud」からスタートした。
大きくなって移転した「sunshine+cloud」では営業時間を過ぎてしまったにも拘らずスタッフの皆さんが笑顔で迎えてくれた。こちらでカミさんは靴とTシャツを購入。
材木座のMIKAMIさん宅でモヒートをご馳走になってから近所の帰国子女の方がやっている無国籍居酒屋「満」へ。当日はお祭りという事で賑やかな店内で楽しく飲みながら美味しい料理をいただいた。
そして鎌倉の夜の〆は、私のたっての希望でバー「THE BANK」へ。ここへは長年来たいと思っていた。
古い石造りの銀行をバーに改装した店内は狭いながらもオーナーの研ぎ澄まされた美意識が漂う異空間。オーナーとは渡邊かをる氏、伝説のアートディレクターだ。私はこの方のセンスが大好きである。渡邊さんは「男がバーで飲む酒はジンやスコッチである」と宣う。その仰せに従いMIKAMIさんはギムレットからラフロイグに、私もマティーニからラガヴァリンと杯を重ねた。
翌朝、我々四人はMIKAMIさんのフィアット500に乗り七里ガ浜の有名店「bills」であの世界一の朝食を。ここのリコッタ・パンケーキは噂に違わず絶品だった。
その後、MIKAMI夫妻と楽しくショップをいろいろと徘徊した。話題の複合レストラン「GARDEN HOUSE」、ジャム屋さんや鎌倉山の民芸店「もやい工芸」と怪しげな「苔丸」などを案内して頂き、最後に一息入れようと由比ガ浜の「Daisy’s Cafe」に。
70年代のシンガーソングライターの曲が流れているような懐かしいアメリカンな店内はカミさんの好みにどストライク。コーヒーも美味しかったが名物のジャスミンライスは癖になる味付だった。
MIKAMIさんのフィアット500に大の大人が四人乗り、屋根と窓全開で鎌倉の狭い道をキュッキュッと走っていると、どんな高級車より注目の的であった。
MIKAMI夫妻ありがとうございました。迷惑でしょうがまた伺いますね。
鎌倉という町が近しい存在になった有意義な小旅行だった。
不思議と自分の趣味・嗜好と重なる鎌倉のMIKAMIさん。
だから冗談で「前世は兄弟だったかも?」なんてカミさんに言っていた。
五十路を向かえ、海の近くでスローに暮らしたいと語っていたMIKAMI夫妻。
鎌倉に移住する前は、南房総に週末住宅を借り二年間通っていた。そして、その時知り合ったMIKAMI夫妻のご自宅を今回訪問出来たのは「サンドカフェ」のお蔭に他ならない。
東京時代は沢山の物に囲まれていたらしいが鎌倉暮らしを始めるに際し、それらを相当整理したと聞いた。本、服、生活雑貨などなど。
本当に好きなものだけに囲まれたシンプルな暮らしが海辺には似つかわしいのだろう。
今年二回目の鎌倉は、一泊二日の小旅行気分。
以前よりお招き頂いていたMIKAMI夫妻のお宅に伺う事と、お薦めのショップなどを巡る為だ。
二年ほど前に都内から鎌倉に移住されたMIKAMI夫妻の暮らしは羨ましい程に優雅であった。
キッチンスペースの上の超大型の天窓からは陽光が降り注ぎ、雲が流れる様もダイナミックだ。両サイドは窓を設けずプライベートを保ちながらも天窓から見える空の変化と屋上の緩やかに傾斜したデッキなどから、ご主人の「船のような家」という所以が伺える。
骨董歴の長いご主人のコレクションがインテリア洋書や古書の間に絶妙に配置された作り付けの棚を見れば、その審美眼の程が伝わってくる。しかも心地良く。
その様は流石としか言いようが無く且ついつまでもそこに居たい気分になってしまうのは熱烈歓迎してくれた二匹の可愛いワンちゃんとご夫妻のおおらかさに他ならない。
とにかく全てがフォトジェニックなお住まいなのであった。
6月に入り、梅雨到来。
私の感覚では今年まだ2ヶ月か3ヶ月しか経っていない感じなのだが、現実は私の体内時計より2~3倍の速さで流れていってしまう。
だから子供の頃からの夢は、空を飛ぶことと時間をコントロール出来ることだった。(イマジネーションの遊びの中では可能だが。笑)
私は気候によって聴く音楽を変える。梅雨はちょっとネクラなジャズはいかがか。
北欧のピアニスト「Tord Gustavsen」。
私はいつも映画や音楽のソフトを提供してくれるディレッタントM氏とペンションオーナーN氏のおかげで自分のカテゴリー以外の映像や音に出会えるチャンスが多い。
このトルド・グスタフセンはM氏より頂いた。
私 「このネクラ感は日照時間の短さも関係あるのでは?」
M氏「当然、日照時間はメラトニンの分泌に作用しますから!」
ただ、ちょっとブルーな気分の時はお薦めしませんが。
そして、やがて梅雨が明ければ聴きたい音はラテンへと移行していく。