海辺に長く暮らしている為か、森の暮らしというものに憧憬がある。
その森暮らしの達人、田淵義雄さんが亡くなったと知り「森暮らしの家」(小学館)を読み返してみた。
私がタブチさんに魅かれたのはタブチさんがストイック志向でなくヘドニスト(快楽主義者)だから。
そしてアメリカ東海岸のニューイングランド辺りの暮らしを想起させるから。
バーモントとかメイン州辺りの・・
標高1500Mの土地だから冬は極寒となる。寒い家が嫌いなヘドニストは薪ストーブやキッチンストーブのスペシャリストとなり専門書を翻訳している。
この本に書いている「いつも思うんですけど物作りや労働の現場は快適で居心地がいいものであるべきです。人にとっての労働とは何なのか?新しい労働論の哲学が今、必要だ」と。全く同感です。
タブチさんが好きだった詩が載っている。15世紀のイタリアの詩人のものだ。
この世の暗さは影にすぎない。
その影のむこうがわ
まだ手が届くところには
歓びがある
その歓びをつかめ
人生で大切なこと、それは自分の歓びを自分でつかむこと。と教えてくれたタブチさん。
また一人、本物の人が旅立ってしまった。
ご冥福をお祈りします。