大学を卒業して役所勤めをしばらくしていた。
今から40年ほど前の話である。
初めて配属された部署に珈琲とタバコ好きのジム・ジャームッシュみたいなオジサンがいた。
ダンディーなオジサンは家でドリップしたブルーマウンテンを入れた魔法瓶を持参し、お茶の時間になるとそれを私達にも振る舞ってくれた。
そして珈琲を飲みながらゴールドのデュポンのライターでタバコに火を点けていたのだがライターの上蓋を上げた時の独特の金属音が印象的だった。
私がガスライターの王様「デュポン」を使うようになったのは最近のこと。
今日は久しぶりにのんびりした休日だからキューバのお土産で頂いたコイーバに火を点けた。
上蓋を上げるとあのころ耳にしたキーンという心地良い金属音が響いた。