写真家のガラス

世の中に多才な人というのが極わずかいる。

本職で稀有な才能を示し、それ以外のいくつかのジャンルに手を染めても、そのどれもが高いレベルにある人である。

 

浅井慎平さんの海岸美術館に在籍していた時、浅井さんは青森のガラス工房に足繁く通い作品作りに熱を上げていた。

その作品の中で私が特に気に入ったフラワーベースがあった。

どこかマチスをイメージさせる筆使い、色合いのそのガラスを涼を感じたくてこの夏自室に飾っている。

 

浅井さん流に言えば「いい作品は風が吹いている」から・・

写真以外にガラス、書、俳句、エッセイ、コメンテーターと多才な浅井さん。80を過ぎその「書」にも枯れた魅力が加わっているに違いない。
私が海岸美術館に転職を決めた日、世田谷の自宅で浅井さんから頂いた酒器。箱書きに雨・1990・Sep,30とある。「イイ話は午前にするのがが良い」と話されたのを記憶している。

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