親父の海

親父が亡くなってから早5年ほどになる。

定年後に油絵を始めた親父は、いつも南房総の風景を描いていた。

漁港や灯台、花畑など。

 

年末に線香をあげに実家に行った時に見慣れぬ絵があった。

その絵は典型的な南房総の風景という訳では無く、どこかの海と空のようだった。

太筆でざっくりとしたタッチが親父らしい。

空の光がちょっと印象派の絵のようだった。

 

今まで親父の絵をあまり飾ろうとしなかった私だが「この絵もらうよ」と言ったら、お袋が「あら珍しい!」と驚いた。

お袋が気に入った人に親父の絵を差し上げていたのを知っていたが、偶然これが残っていたという訳。

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