イタリア人らしき初老の紳士は、日に焼けた肌と高い鼻の持ち主だった。
どことなくジャック・クストーに似ていた。
ジャケットにノーネクタイの紳士の元には男たちの行列が出来ていた。
何故なら、その紳士はお客の好みの香水を絶妙のセレクションで、しかも安価で分けてくれるのだった。
次々に男たちが理想の香水を手にしていた。
私は行列の後ろから二番目だったが、次が私の順番になった時に紳士が「最後の一人だ!」と言った。
すると、一番後ろにいた男がスッと私の隣に出てきて並んでしまった。
私は「あっ!」と動揺したが紳士は迷う事無く私を選び「お前はどんな香りが好きか?」と聞いた。
そして「この部屋の香りが好きだ」と言った私に一つの香水のボトルを選び渡してくれた。信じられない値段で。
そんな良い香りの夢を見た・・