ICHIROさんは高校の美術部の一つ先輩。
美大を卒業後、ステンドグラスの仕事をしていたが実家の水産加工業を継ぐため千倉に帰って来た。
私は、今度始めるカフェの壁に飾りたいからと海をイメージしたステンドグラスをお願いした。
それは、随分昔のこと・・
サンドカフェの白い壁に飾られたそのステンドグラスは遺作となってしまった。
高校の時から抜群にデッサンが上手く才能のある人だったが、家業の仕事中に頭を怪我してからは放蕩していた印象だった。
昨年末、ICHIROさんが生前足繁く通っていたワインバーの閉店パーティーがあった。
私はデッキで知人たちとホロ酔いで談笑していた。
午後9時を過ぎた頃だったか、私は右肩にブルブルっと電気が走ったような強いショックを感じた。
瞬間的にICHIROさんが来たのだとわかった。
特別そっちの感覚は敏感な方じゃ無いがその時は不思議にそう確信出来た。
ICHIROさんはワインバーにお別れをしにやって来て私に挨拶してくれたのだろう。