木枯らしが吹いて古いストーブに火を入れる季節になった。
暖かくなった部屋でブランデーのお湯割り片手に聴きたくなるアルバムがビル・エバンスの「From Left to Right」
私にこのアルバムを教えてくれたのは、年配のとてもお洒落な女性だった。
千倉に別荘を持っていたその方は週末必ずカウンターにやって来た。都会の空気を身にまとい。
そして、いつも私の知らない美味しい物や銀座、京都などの話を聞かせてくれた。話ばかりでなく彼女のプジョーの自転車のカゴには美味しい御土産がいつも積まれていた。
時々別荘にも招待していただき、手作りのご馳走で持て成してくれることもしばしば。メイプルの家具で統一したインテリアもとても素敵だった。
そんなとても楽しい時間を私に運んでくれた人だったが色々な事情で千倉を引き払うことになってしまった。最後に大切な置き土産を残して・・
それはサンドカフェのデザートでも特にファンが多い「ショコラ(フォンダン)」の彼女のオリジナルレシピだった。