今週の14日(金)Sand CAFEは、お休み致します。(10日の代休として)
よろしくお願い致します。

レナード・コーエンのワールドツアーのDVD「Songs From The Road」を観た。ダークスーツにソフトハットが似合いすぎるほど似合う70過ぎの爺さんがシンプルなリズムに乗せて唱えるように歌う。目を細め、枯れた声で。バックもコーラスもイイ感じだ。
ブルース、ロックに少しフォークロアも混ざったサウンド。それはノマドのように放浪していた影響なのか?しかし何よりその「詩」に心惹かれた。その徹底的にダークサイドの世界に。徹底しているから暗くても美しく、余韻も心地よい。
レナード・コーエンのライブを見て、ある種の感慨にも似た思いを抱いた。真に成熟した大人とは世の中の不条理、矛盾を引き受ける覚悟のある人だ。もしくはそうあろうとする人だと。
同時代に異才のロッカーと遭遇できたことに感謝。真に大人の音楽です。
肌寒くなってくるとネルシャツの肌ざわりが恋しくなる。秋から冬、休日の波乗りには必ずネルシャツを着て出かける。そしてボトムスはコーデュロイのジーンズを合わせる。これ定番のスタイル。
ネルシャツやコーデュロイって着た時にデニムと違ってヒヤッとしないんです。(笑) 寒がりなので。
どうも今年はネルシャツがブームらしいが、私は70年代にウエストコーストカルチャーの洗礼を受けて以来、飽きもせず古着屋に行く機会があればネルシャツコーナーへ向かってしまう。
ニールヤングもイーグルスの面々もネルシャツをちょっと汚げにカッコ良く着ていたな。だから海に向かう時も彼らの曲を聴いている。
宿「まるも」では朝食を予約していた。友人から「朝食が良い」と聞いていたとおり、焼き魚(鮎)、玉子焼き、味噌汁、海苔、胡麻和えなど必要にして十分な朝食。メロンまで出して頂いて千円はうれしい。そして朝8時から開いている1階の名物喫茶店で食後のコーヒーが飲める幸せ。
重要文化財「開智小学校」を見学後、この旅でどうしても訪れたかったカフェギャラリー「LABORATORIO」へ。ここは古~い薬屋のビルを家具作家夫妻がセンス良くリノベーションしたと評判のショップ。薬屋だったのでラボラトリオだそう。この古いビルの素材の良さを見出した眼力はサスガ家具作家。何ともステキな空間だった。
時間があったので、旅の最後に「松本民芸館」を訪れ、駅に向かった。
二日目は、NHKの朝ドラ「おひさま」で人気の安曇野へ。平日にも関わらず大勢の観光客が訪れていた。特に中高年の(私もか?)ハイカーやサイクリストが目立った。
風評被害の海辺の観光地はこの夏苦戦していたが、高原や山間部の避暑地はかなり人気だったようだ。松本駅にもバックパッカースタイルで決めた若い人たちをかなり見かけた。若い人たちの志向やスタイルは、社会情勢(経済)を敏感に反映しているひとつの現象として捉える事が出来るし、私もそれから影響を受けたりする事もある。
今日は早めに宿に入り、白壁と黒なまこ壁の蔵が立ち並ぶ「中町通り」界隈を散策した。民芸店や器屋を覗き、甘味処でかき氷を食べたりした。
盛夏を思わせる陽気の中、信州は松本方面へ家族旅行に行ってきた。久しぶりの家族6人が揃っての旅は、私の個人的趣味が色濃く反映されたものとなった。(笑)
初日は国宝・松本城、老舗菓子店・開運堂などを巡り、今回の旅のメインである「すぎもと旅館」へ。
すぎもと旅館は、古い湯宿の佇まいを活かしながら主人の趣味やセンスが男心をくすぐる粋な宿として知られている。ただし和風旅館のしっとり落ち着ける空間と滋味豊かな食事は女性陣も大変お気に入りだった。
館内随所に置かれたマッキントッシュの真空管オーディオが奏でる静かな音色。夕食の〆に頂いた主人の打つ十割ソバ(挽きぐるみ)、シングルモルトが揃ったバー、ジャクジーの脇のツリーハウスなど趣向を凝らしたもてなしが嬉しい。それでいて押し付けがましさなどは全く感じさせない。
私は主人の顔が見えるスケールの宿が好きだ。
この夏、南房総の海水浴客が、前年に比べ随分少なかった。海辺の観光地は何処も不景気風が吹いているらしい。風評被害と諦め来年に期待しよう。
エアコンと業務用冷蔵庫が老朽化しとうとう修理不能で買い換えた、この夏。6年間のリースを抱えてしまったが良く17年半頑張ったし、新しい冷蔵庫は電気代が半額の節電タイプとの事。そう考えるとちょっとは救われる。
しかし嬉しいサプライズも多かった。
それは、懐かしい同級生達と再会できた事。それも立て続けに店を訪れてくれた。みんな何十年か振りに会ったのに、その瞬間に「昨日の友」にフラッシュバックしてしまう。直彦と奥さん、泉、そして弘、ありがとう。
久しぶりに来店していただいたお客様も多く、ご家族が増えていたり、小さかったお子さんがお父さんより背が高くなっているのを見るにつけ、長く店をやってきて良かったと嬉しさが込み上げる。
いろいろ世話になったKさんが旅立って来月で早一年が経つ。ブルースが大好きだったKさんを偲ぶライブが鴨川のブルース&ジャズ「風雲(かぜくも)」であった。
出演はK.S.Dブルースバンド、スペシャルゲストはKさんが慕っていたブルースハープの第一人者・妹尾隆一郎氏。「風雲」は、その狭い店内ゆえミュージシャンとお客との濃密な空気感が堪能できる店としてつとに有名である。
妹尾氏はコードが変わる度に腰に巻いた革のハープホルダーからハープを抜き取り、大阪弁で曲紹介をしながら私の目の前50cmで次々素晴らしい演奏を繰り広げた。そんな最中、ハイボールのピッチも最高潮。最後はカミサンにキツークたしなめられた。
このライブでちょっと不思議な出来事が。
はじめに店主が挨拶でKさんとの思い出を話し始めた時、いきなり天井の照明がパチパチッと点滅した。誰かが「Kが来てるよ」と言った。それと前列の真ん中の椅子が一つだけ空いているのに誰も座らない。立ち見の客も何人もいたのに最後まで空いたままだった。
誰とも無く分っていたのだ。Kさんの席だって。でもKさんきっと喜んでくれたよね。
あれから10年の歳月が流れた。全世界で400万枚をセールスした「ブエナビスタ・ソシアル・クラブ」。その記念碑的ライブ、映画にもなったカーネギーホールでの2枚組ライブアルバムが最近リリースされた。(なぜ今頃なのかな?)
宝石のような歌姫オマーラが歌う「キサス・キサス・キサス」やライ・クーダーのスチールギターがイケル「誇りを持って」、そしてコンパイ、イブラハム、ルベーンらの何とも味のある曲が再び私を憧れのオールドハバナへ誘ってくれる。
毎晩このアルバムを聞いていると、タイムカプセルに封じ込められていたホンモノの音楽の原石を発掘したルーツハンター、ライ・クーダーの功績をあらためて実感する。