押しも押されぬ世界的アーティストとなった写真家であり現代美術家の杉本博司氏。この人のアクションに私もいつも注目しているが、最近カ-サ・ブルータスで読んだ杉本氏の文に興味深い事が書かれていた。
「パンスペルミア説」……宇宙から飛来する隕石の中にアミノ酸を含む物があり、それらが太古の海面に激突した衝撃でアミノ酸と海水が反応し原初の生命体が地球上に誕生したとする仮説。
それから何億年たったろうか?氏はこの仮説を元にした虚構の作品に写真という装置でリアリティーを与えた個展を地元NYで開いた。あまりに確信を持って語られる嘘には真実が宿るものらしいと付け加えている。
杉本氏の周到で緻密、完璧ともいえるコンセプトはコンセプチュアル・アートの生みの親、あのマルセル・デュシャン譲りのようだ。デュシャンは死後益々その影響力を増している稀有なアーティストだと氏は認めている。私は同じ意味で利休もそうだろうと思う。