もうずいぶん長い間波の上で漂っていることになる。
19歳の秋、海水浴場の監視員のバイトで稼いだお金で中古のボードを買った。なかなかうまく乗れなかったけれど、海に浮かんでいるだけで、また、自分で組んだスケートボードをプッシュするだけで軽くなれたし乾くことが出来た。世の中がきらきら輝いて見えるマジックサングラスを手に入れた気分だった。
しばらく遠ざかっていた時期もあったが、あの頃のきらきらした感覚をふたたび味わいたくてロングボーダーになって久しい。それからはずっとシングルフィン一辺倒。ボードもお気に入りが1本で充分。たっぷり使い込む。
しかし年をとってしまったのか、世の中が変わりすぎてしまったのか、きらきら輝いて見えることはもうないのかもしれない。